合気道(あいきどう)とは日本古来の柔術・剣術・杖術など諸武術を基に植芝盛平によって創始された現代武道である。
■歴史・成立から展開
盛平が創始した(財)合気会は二代目道主・植芝吉祥丸を経て、現在は吉祥丸の次男植芝守央が代表である三代目道主を務める。
今日国内100万人とも言われる合気道人口の大半を占めるのが合気会の会員であり、合気道界の多数派・主流派を形成している。
欧州・北南米・東南アジアなど国際的に広まり、合気会だけで現在約80ヶ国に支部道場を開設している。フランスなど、合気道人口が日本より多い国もある。
1976年には合気会傘下の国際合気道連盟(IAF)が結成され、 IAFは1984年国際競技団体総連合(GAISF)の正式会員となり、1989年以降ワールドゲームズ大会に毎回参加している。
■理念・精神性
他武道に比べ精神性が重視され、精神的な境地が技に現れるとされている。
武術をベースにしながらも、理念的には力による争いや勝ち負けを否定し、合気道の技を通して敵との対立を解消し、自然宇宙との「和合」「万有愛護」を実現するような境地に至ることを理想としている(主流会派である合気会が試合に否定的であるのもこの理念による)。
また盛平の弟子の中には藤平光一を初めとして、ヨーガを日本に持ち込んだ中村天風の影響を受けた合気道師範も多く、合気道の精神性重視という気風を次代に継承している。
■技・稽古の形態
技は体術・武器術(剣・杖)を含み、対多人数の場合も想定した総合武術である(ただし、現在は体術のみを指導する師範が大半で、武器術も指導する師範は少ない)。
戦時中は旧陸軍中野学校や旧海軍大学校などでも盛平が指導していた。
戦後も、自衛隊徒手格闘や警察の逮捕術の技術に大きな影響を及ぼし(多くの女性警察官が、警察学校在学中に修得する武道として合気道を選ぶという。対して男性警察官は多くが柔道・空手である)、機動隊や警察特殊部隊などでも研修が行われている。
■技の形態
無駄な力を使わず効率良く相手を制する合気道独特の力の使い方や感覚を「呼吸力」「合気」などと表現し、これを会得することにより、“合理的な”体の運用によって“相手の力と争わず”に相手の攻撃を無力化し、年齢や性別・体格体力に関係なく「小よく大を制す」ことが可能になるとされている。
■演武会
試合を行わない合気道では、各自の技量の向上と世間一般への普及を目的として演武会が開催される。演武とは予め決めた技を順番に演ずることで、同じ技であっても激しく叩きつけるように演ずる者、静かに淡々と演ずる者など個性が現れる。
現在では各会派が定期的に演武会を開催している。中でも(財)合気会が日本武道館で毎年行う「全日本合気道演武大会」は国内最大規模の演武会である。